
THE CURIOUS CASE OF SADOHARA DOLLS
佐土原人形の伝統を守る
Photography: Tetsuo Kashiwada/Words: Tomoki Nakamuta
土で形作られた柔らかなフォルムに、鮮やかな着彩。絵付けはシンプルだが、しばらく眺めていると、軽やかな躍動感や生き生きとした表情が見えてくる。この「佐土原人形」は、いわゆる郷土人形の一つ。現在もこの郷土人形を作り続けている「佐土原人形店 ますや」は、元々造り酒屋の家系で、屋号は酒の桝に由来があるという。江戸時代末期・文化年間に初代である阪本作左衛門が人形作りを始め、家族を中心にこの伝統を受け継いできた。現在は八代目にあたる阪本由美子さんと、娘の寛子さんがこの看板を守っている。 「ますや」の人形には、時代時代の流行が映し出されている。佐土原地域では、元禄期から農民歌舞伎が始まり、明治期には九州一円で巡業を行うほどに人気を博していた。江戸時代末期頃には、その役者たちを模した歌舞伎人形が作られるようになった。農民歌舞伎自体は衰退してしまったが、佐土原人形を見ると当時の人々が歌舞伎に傾けていた熱が感じられる。

伏見人形などで代表的なモチーフ「饅頭喰い」─聡明な男の子の説話にあやかっている─は、三代目・兵三郎が「人形で遊ぶ女の子のために」あどけない少女の人形にアレンジした。明治期における洋装ブーム「ハイカラ」をテーマにした風俗人形は、当時の外套や洋傘のデザインが落とし込まれ、どこかモダンな雰囲気を放っている。

寛子さんは現在、母の人形作りのための環境を整えるだけでなく、この伝統を正しく理解してもらうための取り組みにも力を入れている。その活動には、工房での人形作り体験、ウェブやソーシャルメディアを通じた発信も含まれている。彼女は新しくリニューアルしたホームページに、五代目の和子さんが残した言葉を引用している ─「きらびやかな人形よりも、じっと見ていると、味わいのでてくるものを作りたい」。

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MIYAZAKI

九州の南東部に位置する「宮崎県」。全国から移住者を惹きつけるサーフィン文化や彼らが地元に根ざして立ち上げたスモールビジネスやコミュニティ、歴史ある城下町の地域デザインを取り上げます。


